ブンデスリーガ今季みどころ

「これ以上の結果を出すことは、来季果たして可能だろうか」。バイエルン・ミュンヘンが昨季、ブンデスリーガ、欧州チャンピオンズリーグに続いてDFBカップでも頂点を極め、ドイツ史上初の3冠を決めた瞬間、多くのサッカーファンにこの疑問が浮かんだのではないだろうか。名将ハインケス監督の退任が決まっていたのだから、なおさらだ。だが冒頭の疑問は解消されたとは言えないものの、新生バイエルンの輪郭らきしものは徐々に見えてきている。

始動から間もないうち戦術練習でみられたのが、グアルディオラ新監督がチームに大きな変化をもたらそうとしていること。それも、ラームが中盤、マルティネスがセンターバック、リベリが司令塔という具合だ。合宿地リバ(イタリア)での「(本来FWの)マンツキッチはディフェンダーとして使えるかもしれない。空中戦に強く、積極的にボールを取りに行く選手だ」という言葉には、チーム作りに一切の先入観を介入させないという姿勢が伺える。

「戦術が重要なのではない」



3冠達成したばかりのチームを大改造しようなどという考えに至る監督は、そうそういない。グアルディオラ氏はしかし、そういう監督のようだ。すでにバイエルンの「バルセロナ化」を指摘する外野の声があるが、クラブ関係者にはザマー取締役のように「細かい修正があるくらいで、大きな変更はない。それほど騒ぐことではない」と変化の存在を否定する見方もあるようだ。

「停滞は後退である」との理念を持ち、成功を収めたモデルの正当性を根本から問いただすグアルディオラ氏の監督就任が、バイエルンのサッカーに大なり小なり変化をもたらすことはクラブ側も十分予測していたことだろう。ただ、グアルディオラ監督は「戦術が重要なのではない。選手1人ひとりが与えられたポジションで役割を果たすことが重要なのだ」と言う。

ここまでの強化試合で見られる戦術面での変化は、4-1-4-1に変えた点。昨季のバイエルンの戦術の核ともいえる、いわゆる「ダブルボランチ」を廃止したのだ。この変更により、強化試合ではイレブンに多少のぎこちなさが見受けられたが、クラブ幹部は気にかけない様子だった。

6つのポジションをめぐる15選手の争い



新システムの浸透が時間を要することは、ザマー氏も承知の上だ。だが一方で「時間は言い訳にはならない」と警告する。つまり、「一刻も早い」移行期間の完結が求められる。

コンフェデ杯に出場したDFダンテ、MFルイス・グスタボ、MFマルティネスら3選手はチーム合流が遅れたことで、新システム対応の遅れが懸念される。また、長期離脱中のDFバートゥシュトゥーバー、今夏ドルトムントから移籍したMFゲッツェが開幕に間に合わないことも、監督にとって悩みの種となったことだろう。

それでもバイエルンは人員不足とは無縁。むしろその逆だ。バルセロナから電撃移籍したMFティアゴも含め、名だたる有名選手ばかりによる定位置争いが激化している。若手のMFチャン、MFワイザー、MFホイベアクを加えれば15人となる攻撃陣に割り当てられたポジションはたったの6つ。出場機会の与えられない選手の不満を前任のハインケス監督のようにうまく鎮められるか、新監督の手腕が問われる。

過密日程



とは言っても、今季も過密日程のせいで序盤からローテーションせざるを得ず、「ベンチ要員」と思われた選手の多くにも出場機会は与えられるはずだ。バイエルンの2013/14シーズンには過密日程が待ち受けている。例年通りのブンデスリーガ、欧州チャンピオンズリーグ、DFBカップだけでなく、チェルシーが対戦相手となる8月末のUEFAスーパーカップ、12月中旬のクラブW杯にも参加するからだ。ハイレベルで層の厚いチームを抱えておくのは当然か。

開幕前からこれほどの盛り上がりをみせたシーズンは少ないのではないか。バイエルンは昨季の輝きを維持できるか、8月9日の開幕戦、メンヘングラートバッハ戦が試金石になる。前人未到の栄冠をつかんだバイエルンの期待と重圧の入り混じるシーズンが始まろうとしている。

ヨハネス・フィッシャー(Johannes Fischer)

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