ブンデスリーガ2部今季みどころ

もし多くのサッカーファンの予想が正しければ、フュルトはちょうど1年後の今頃も、ことし同様、ブンデスリーガ2部の開幕へ向けて準備をしていることになる。キッカー誌が行ったアンケート調査の結果によれば、フュルトの来夏での1部昇格を予想した回答者の割合は5パーセントを切ったという。

だがフュルトにはこの結果に動じる理由はない。そもそも新シーズンの目標に再昇格を掲げていないからだ。ただ目標設定がどうであれ、このような評価を完全に無視するのは容易ではない。クラーマー監督の「(そんなアンケート調査には)まったく興味はない」という発言からは、表面的な意味とは裏腹に、憤慨が感じ取れる。

ユース育成への投資



そもそもフュルトを見る人々の目は、他の強豪クラブを見るときのそれと大きく異なる。例えば、カイザースラウテルン、ケルン、ヘルタなど1部の常連クラブが2部へ降格すると、即座に翌シーズンでは昇格争いをするだろうという予測が立つのに対し、フュルトに対する期待値は前述のとおり限りなく低い。ただ今季のフュルトには期待を持たせる要素がないというのも事実だ。フュルトは今夏、2部降格に伴い多くの主力選手を放出した一方で、それを補う新即戦力の獲得に乗り出さなかった。MFガイス、MFクラウス、DFネーリヒ、FWネーテ、FWアサモア、FWサララー、GKグリューン、MFプリプらの放出によって巨額の移籍金が舞い込んだにもかかわらずだ。

ドイツ中に名の知れた選手の加入が決まったのは、6月末になってから。MFスカロのデュイスブルクからの加入が決まる以前は、まったく音沙汰なしだった。今夏新たにフュルトのユニフォームに袖を通したのは、DFコアチュマール、GKフレッケン、DFシュルツェ、DFギーセルマン、MFスパーフ、MFドレクスラー、DFブロジンスキ、MFワイラント。この中からビーレフェルトとの第1節で出場機会を与えられる選手も出てくるだろう。

フュルトは今夏も例年通り「一時的な成功よりも、長期的な視点に立った経営」という理念に基づき、他クラブとは一線を画す堅実路線を貫いた。選手放出による移籍金・給与支出の削減によって得られた収入の大部分は、下部組織におけるユース育成に充てられる。フュルトのユース育成部門は、リーグのアカデミー格付け制度で最高の3ツ星を与えられた実績を誇る。

周囲の信頼を味方につけるクラーマー監督



「(独自の下部組織から)プリプ、サララーのような大物が毎年出てくるわけではない」とクラーマー監督は周囲の期待を受け流すが、それでもフュルトは将来も下部組織からの選手供給に頼る計画だ。2部降格によるトレーニングの質の低下はなかったという。昨季終盤から指揮を執るクラーマー監督は、降格を防ぐことはできなかったが、それは当時の順位状況を考えれば当然のことであり、フュルトでは大きな信頼を得ている。新シーズンはディックハウト・コーチ、パーダーボルンから引き抜いたグレスリング・GKコーチ、デュリング・コンディショニングコーチを擁する新体制でチーム作りに取り組む。

GKヘスル、DFクライネ、DFマブライ、MFフュルストナー、DFババ、FWジュルジッチら2部のトップクラブが欲しがるような人材が残っているのも心強い。フュルトは2部での再スタートを切る今季、伝統的に懐疑的といわれるサポーターの信頼を改めて勝ち取り、スタジアムを緑色で埋め尽くすことができるだろうか。

クリストフ・ルーフ (Christoph Ruf)