決定力向上で2部定着へ
ブンデスリーガ2部今季みどころ
中心選手3人の退団、経験の浅い若手の加入
新シーズンへ向けた夏季準備期間がスタートし、当初アーレンには強化試合で頭を抱える結果が続いた。新たに編成されたチームは3部リーグのTSVラインに0-1に敗れ、ニュルンベルクU23には1-0というきわどい試合をし、さらにザンクト・ガレン(スイス)にも0-1での敗戦を喫した。
ブンデスリーガ2部での2シーズン目を迎えるアーレンが、来夏は確実に降格するだろうと予想する人は、これらの強化試合の結果で確信を深めたに違いない。だがスポーツディレクターのマークス・シュップ氏は異議を唱え、「悲観的な予想が多いが、2部に定着したいと思っている。新しいシーズンを迎えるにあたって、不安はない」と明言している。
しかし、新シーズンに向けてクラブを取り巻く環境は決して楽なものではなかった。昨季終盤、不意に訪れたメインスポンサーの降板で、アーレンの2部残留の望みは絶たれたかのように思われていた。だがベアントウルリヒ・ショルツ会長が融資を増加し、昇格チームとしては最高の9位でシーズンを終えた。しかし今後は最小限の予算でやりくりしなくてはならない。
昨季7ゴールを挙げたティム・キスターはザントハウゼンへ、そしてやはりチームの核を担っていたマーティン・ダウシュとトーステン・シュルツはそれぞれウニオン・ベルリンとドレスデンへ移籍した。ファビオ・カウフマン(SSVウルム)、フェリックス・ニーリヒロ(アーレンU23)そしてファビアン・ワイス(グロースアスパッハ)ら新加入選手は、まだ2部という未知のレベルに慣れるまでには時間が必要だ。
攻撃とより早い切り替えを
チームが新監督のサッカーを呑み込むまでも、同じだろう。前監督のラルフ・ハーゼンヒュットル氏は、徹底した予算削減に則ったチーム作りを「クラブの将来を考えればほかの選択肢はない」と称賛しながらも、自身はこの環境で引き続き指揮官を務めることは希望せずに辞任した。後任のシュテファン・ルーテンベック氏は、アーレンのアカデミー部長とU23チームの監督を務め、モダンなプレー哲学を持ったエキスパートである。
ルーテンベック監督はチームを、これまでのディフェンシブなプレースタイルから徐々に攻撃的なスタイルに変えていこうと試みている。以前よりも早めにプレスをかけ、攻守の切り替えもより早くする一方で、守備は怠らない。そのために必要となる1ボランチを据えた4-3-3システムを、チームはこの夏季準備期間にどんどん習得している。「ザンクト・ガレン戦の前半は、戦術的に非常にいいプレーをみせていた」と指揮官は振り返る。
「ゴール前での改善が必要」
決定力不足は、昨季の大きな問題の一つだった。ルーテンベック監督は「ゴール前の改善が必要」と話し、FWマーセル・ライヒワイン、シュテファン・レヒライター、シディマールの名を挙げる。さらに即戦力となる市場価格の低いDFも欲しいところ。すでに多くのテスト生が練習に参加したが、そのうちの1人で、ハンブルガーSVの現スポーツディレクターを父に持つニクラス・クロイツァー(FCバーゼル)の契約は見送られた。
ザントハウゼンと対戦する開幕戦が、早速今季の目安にもなるだろう。昨季同様、できればザントハウゼンより上の順位に、というのがアーレンの目標だからである。
クリストフ・ルーフ (Christoph Ruf)