ブンデスリーガ2部今季みどころ

アウエが新シーズンへ向けて活動を再開した6月17日、練習場では昨年同様、新しい監督が指揮を執っていた。しかし、2012/13シーズン、最後の最後まで3部降格の危機にあったチームの選手の顔ぶれには、なんら変わりがない。どうやら大きな補強なしで2部残留に目標を絞った戦いを計画しているらしい。

この特主任務を請け負うゲッツ新監督(51)がアウエの地を踏んだのは、昨シーズンも大詰めとなったことし4月末。当時、ベトナム代表の監督を務めていたが、3部降格の瀬戸際に立たされたアウエからオファーを受けて急きょ帰国を決めた。「練習を通して改善できることはごくわずかだった」と就任当時の苦しい状況を振り返るが、チームは、1部所属のヘルタ、1860ミュンヘンでの監督経験も持つ新監督の指揮下で、14位まで順位を上げ、見事に残留を果たした。

ビルドアップの改善がカギ



新シーズンを迎えるに当たり、チームは新しい取り組みに挑戦している。「これからは戦術面を磨き、攻守それぞれで重点を決めてやっていきたい」と先を見据えるゲッツ監督は、ポゼッション時のビルドアップを鍛え、チームプレーで相手ゴールを脅かすスタイルを追求する。昨季は冬の中断期間空けからシーズン最終戦までの間に、リーグ最小の12得点しか決められなかったという汚名を返上するためにも、攻撃力の向上は急務だ。

ただ、守備的に構える基本姿勢は変えない。旧シーズンで10得点を決めたエース、MFホッホシャイトがブラウンシュバイクへ移籍したためもある。その穴を埋めるのも難しいだろう。

ホーホシャイトの穴を埋めるのは?



8得点でチーム第2位のゴールゲッター、FWジルベストルはこれまで期限付きでの在籍となっていたが、このたび完全移籍が実現した。今後もアウエの主力として期待されるが、昨季はケーニヒだけだった定位置争いの相手が増えそうだ。ゲッツ監督はヘルタを率いていた時に一度獲得したことのある元ナイジェリア代表ソロモン・オコロンコを再び自身の戦隊に呼び入れた。出場機会を求めてロシア、ノルウェー、ハンガリーと多くの国を渡ってきたオコロンコは、ドイツでの再出発に闘志を燃やしている。両者の競争は、アウエの攻撃力向上につながるはずだ。テクニシャンのリコ・ベナテッリ(元ドルトムントU23)、スコットランド1部のハート・オブ・ミドロシアンから移籍するノビコバスら才能ある若手の加入によって、選手層が厚くなる。

ゲッツ監督は、27歳の新戦力スラトコ・ヤンイッチ(元ウィースバーデン)に「経験が豊富で、これまで様々なチームで決定力を証明してきた」と大きな期待をこめる。「もちろんミュラー、コーチャ、ケネケ、シュレーダーらかねてからアウエに在籍している選手にも、もっと決定力のある選手になってほしい」と各選手に対する要求は高い。ホッホシャイトの抜けた穴を埋めるための策は十分に打ってあるようだ。

メネルとキルシュシュタインの正GK争い



チームで最も競争が激しいのはGK部門だ。これまで正GKとしてゴールを守ってきたメネルと、新加入のベテランGKキルシュシュタインがし烈なレギュラー争いを繰り広げている。33歳のキルシュシュタインは、ハンブルガーSV時代にUEFAカップの出場経験もある実力者だ。旧シーズンまで所属したインゴルシュタットでは2番手に甘んじていたが、現ライバルのメネルより12センチも上回る196センチの長身。2008年から正GKの座を守り続けてきたメネルは能力でやや優位に立ってはいるが、ゲッツ監督は開幕直前まで両者の競争を見たうえで決断を下すつもりらしい。

「希望を糧に戦う」



もう一か所、補強が必要なのはセンターバック。主力センターバックのDFニッケニヒが椎間板ヘルニアで開幕に間に合わないためだ。予算からこれ以上の補強が現実的でないのはゲッツ監督も理解している。それどころか「ここはメディアの対応に割く時間が少なくて済むので、サッカーに集中できる」と小クラブで働くことの利点を見出しているほどだ。

「希望を糧に戦う」とゲッツ監督はチーム状況を表現する。もちろんコンディションが良ければ、アウエは残留以上の目標を達成することも可能だろう。それでも上は見ずに、昨シーズンよりも早い残留の確定をただ一つの目標に据えて新シーズンに臨む。残留争いを回避することが出来たとしたら、それはクラブの希望を上回る大成功と言えるだろう。

アンドレ・アンチュエロ (Andre Anchuelo)

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