ネッツァー氏、バイエルンと新監督について

バイエルン・ミュンヘンの新監督に6月24日、スペイン人のペップ・グアルディオラ氏(42)が就任する。昨年夏まで4シーズン率いたバルセロナ(スペイン)を世界最高のクラブチームに作り上げたグアルディオラ氏が、スペイン以外で監督を務めるのは初めて。かつブンデスリーガのクラブの指揮をスペイン人が執るのも史上初だ。ドイツ、スペインを始め世界各国のサッカーに精通しているギュンター・ネッツァー氏(68)に、グアルディオラ氏の監督就任でバイエルン以外のクラブが得られる恩恵や、外国人監督を招へいする意味などについて尋ねた。

「歴代のドイツ代表チームで、最も魅力的なサッカーをしていたのは」という問いに対し年配のサッカーファンが真っ先に挙げるのが、1972年欧州選手権優勝を果たした西ドイツ代表チームである。リベロのフランツ・ベッケンバウアーと攻撃のゲアト・ミュラーの間に位置する頭脳的な司令塔だったのが、MFギュンター・ネッツァー。生まれ育ったメンヘングラートバッハではFWユップ・ハインケスらに華麗なパスを送る攻撃の要として大活躍し、地元ボルシアの黄金時代の中心選手となった。73年には史上初のドイツ人選手としてレアル・マドリード(スペイン)に移籍。74年には地元開催のワールドカップ(W杯)西ドイツ大会で優勝を果たし世界王座に立った。引退後はハンブルガーSVのマネジャー(1978~1986年)を経て、ドイツをはじめ欧州、世界のTV放映権売買に携わる広告代理店をスイスに設立。ビジネスマンとして世界を駆け巡るいっぽう、2010年まではドイツ公共放送で代表戦のサッカー解説者を務め、その辛らつで的確なコメントで大人気を呼んだ。

―― グアルディオラ氏が今夏バイエルンの監督に就任する。ブンデスリーガにとってどんな意味があるのか。

ネッツァー氏 グアルディオラ氏のような監督を迎えること自体、ブンデスリーガにはまったくもって幸運なこと。影響を受けるのは、バイエルンだけではない。リーグ全体が恩恵を被る、と確信している。

―― バイエルン以外のクラブは、何を学び取れるのか。

ネッツァー氏 ここドイツには、新たな刺激やアイデアが必要だと思う。ただ、そうしたものを持ち込めるのは、異なるシステムで試合を行い、異なるゲーム哲学を持つ外国人監督だけだろう。自分はハンブルガーSVのマネジャーを務めていた頃、早期に外国人監督を招へいしたいと思っていた。例えば、(オーストリア人の)ハッペル氏(1981~87年にハンブルク監督)は3年早く呼びたかったが、当初はそれが許されなかった。もちろんサッカーのスタイルが違うため、どのチームでもグアルディオラ氏の思っているようなサッカーができるわけではない。しかし彼がバイエルン監督になることは、リーグに新たな刺激をもたらすだろう。

―― バイエルンは2012/13シーズン、ほぼ完ぺきと言えるシーズンを送り、そのサッカースタイルには説得力があった。グアルディオラ監督はチームをさらに成長させ、向上させることができるだろうか。

ネッツァー氏 グアルディオラ氏がチームをさらに発展させられると確信している。同時に、どんな方法でそれをやり遂げるのかも楽しみだ。バイエルンというチームは、まだ成長へのポテンシャルを秘めている。だからこそ、クラブはグアルディオラを監督として招いたのだ。だが彼は、バイエルンが今季みせた最高級のプレーを放棄することはないだろう。

―― いったいバイエルンの何がそれほど特別なのか。

ネッツァー氏 バイエルンでは一級品なのは、選手のサッカー選手としての面だけではない。彼らのキャラクターもだ。キャラクターで欠点のないチームというのは、今日では基礎的な要素。どんな監督でも、そのようなチームを指導したいと思うものだ。グアルディオラ氏がバルセロナのコピーを創ろうとしているとは、自分は思わない。バルセロナとバイエルンでは、サッカーのタイプが違い過ぎる。だがバイエルンでは、一度も聞いたことのないことを、新監督から耳にすることになる選手も出てくるかもしれない。そうやって、グアルディオラ氏はバイエルンからさらに多くを引き出し、チームは新監督から多くを得ることになる。

―― バイエルンは新監督のもとでどんなサッカーをするだろうか。

ネッツァー氏 いまバイエルンには非常に良いメンバーが揃っている。その中から選手を選んで、グアルディオラ氏自身が考えていることを試すことのできるメンバーだ。「バイエルンでどういうことをやりたい」と既に具体的なアイデアを温めているはずだが、豊富な人材の揃うあのチームのトレーニングを実際に開始すれば、そのアイデアをもっと発展させ、様々なことを試せる可能性が大きいことが分かるだろう。監督にとってバリエーションを持てるというのは最高に素晴らしいこと。先発メンバーやシステムがどうなるかも楽しみだ。

聞き手 ゼバスティアン・ディアシュル (Sebastian Dirschl)