ビセンテ・リザラズ氏インタビュー

【ミュンヘン発・bundesliga.de編集部】元フランス代表でバイエルンにも延べ7年間在籍したビセンテ・リザラズ氏は、欧州チャンピオンズリーグ、ワールドカップ、欧州選手権のいずれにおいても優勝経験を持ち、あらゆる国際タイトルを総なめにした人物。バイエルン時代は6度のブンデスリーガ優勝、5度のDFBカップ優勝の原動力となり、サポーターの人気を集めていた。今回のbundesliga.deとのインタビューでは、史上初のドイツ勢対決となる今季CL決勝について、バイエルンが有利であるとし、またしてその理由をバイエルンが最後にCL優勝を果たした2001年当時の状況を引き合いに出して根拠づけた。


bundesliga.de ついに今週土曜にCL決勝が行われるわけですが、どのような展開を予想しますか?

リザラズ氏 私個人としては、ブンデスリーガの試合によくあるような多くのゴールが生まれる、好ゲームになってくれればと思っています。バイエルンは常に攻撃的で、豊富な運動量で、相手よりも1ゴールでも多く取ることを目指します。ドルトムントについても同じようなことが言えます。ただ、決勝というのは特別なもので、どんなチームでも大きなプレッシャーがかかります。ですので、得点チャンスの少ない展開というのもありえるでしょう。

bundesliga.de バイエルンとドルトムントのライバル関係はここ数年、激しさを増しています。今回の対戦では両チームの選手が感情的になり、ラフプレーが見られる可能性もあるのではないでしょうか?

リザラズ氏 そうならないことを願っていますが、十分ありえます。両チームの選手は「ドイツのサッカーを代表しているんだ」という意識をしっかり持って、今季継続してきたパフォーマンスを出し切ることに専念するべきです。ドイツサッカー、延いてはブンデスリーガのイメージにも影響を与えかねないだけに、今回はラフプレーに走るのではなく、いいサッカーをしてほしいと思いますね。

bundesliga.de 優勝候補はやはりバイエルンでしょうか?

リザラズ氏 それに疑念の余地はありません。バイエルンはドルトムントより強い。ブンデスリーガの最多優勝チームでもあるバイエルンは、力量だけでなく、経験面でもドルトムントを上回っています。今季のバイエルンは圧倒的な強さを示し、一度も不調に陥ることがありませんでした。私は、バイエルンが今季における欧州最高のチームだったと思っています。ただ、それを証明するためには、今回のCL制覇が必須です。さらにもう一つ重要なことがあります。

bundesliga.de 何でしょうか?

リザラズ氏 今季のバイエルンは異常なまでにタイトルに執着しています。昨季CL決勝でのチェルシー(イングランド)に対する敗北の悔しさを力に変えているのでしょう。これは2001年に私がバイエルンに所属していた当時のCL優勝を想起させます。バイエルンは1999年のCLで、マンチェスター・ユナイテッド相手にロスタイムで2失点し、敗退するという辛酸を嘗めていました。それもあり、今回はバイエルンが優勝杯を手にするのではないかと感じるわけです。バイエルンは、昨季の悪夢からすぐさま立ち上がり、それを奮起剤としています。

bundesliga.de 12年前の優勝時と同じく、今回もバイエルンが優勝に値するチームだというわけですね?

リザラズ氏 その通りです。このチームは5度目のCL優勝に値するチームです。過去3、4年の動向を見れば、そう考えるのが妥当でしょう。バイエルンはベッケンバウアー氏の時代から、私の時代を経て、現在まで常に栄光の道を歩んできました。今の世代は本当に素晴らしいのですが、大きな成功の経験がありません。特に、ドイツ代表選手はそうです。2001年と似たような状況ができあがっているだけに、今回のバイエルンには当時のチームを真似てほしいと思っています。バイエルンを応援しています。

bundesliga.de ドルトムントについてはどのように考えていますか?

リザラズ氏 今季はCLでは素晴らしいシーズンを送っていますね。戦い方に関しては、守備から攻撃への切り替えが非常に早く、見ていて本当に面白いと思います。各選手が最後まで走り続けるので、試合内容が濃いという点も見逃せません。ファンも素晴らしいですね。

bundesliga.de MFフランク・リベリは今回の試合のキーマンになるでしょうか?

リザラズ氏 偉大な選手というのは、大一番で重要な役割を演じるものです。バスティアン・シュバインシュタイガーアリエン・ロッベン、マリオ・マンツキッチも世界に通用するパフォーマンスをみせなければならないでしょう。ただ、ドルトムントにもロベルト・レバンドフスキ、マーコ・ロイスがいます。守備も重要になります。集中力を切らしたら負けです。GKマヌエル・ノイアーが試合結果を左右する選手になるかもしれません。昨季準決勝第2戦対レアル・マドリード(スペイン)では素晴らしいセーブをみせました。あの日はすごかったですね。このような大一番では100%以上の力を出さなければなりません。(昨季の)チェルシー戦ではバイエルンはそれができませんでした。もしかすると、ホームでサポータが見守る中での試合は、重圧が大きすぎたのかもしれません。

聞き手 アレクシ・メヌージュ(Alexis Menuge)