バイエルンとユベントス、両チームでプレー経験のあるサリハミジッチ氏が、CL8強戦の展望を語った
バイエルンとユベントス、両チームでプレー経験のあるサリハミジッチ氏が、CL8強戦の展望を語った

「バイエルンやや優勢」

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サリハミジッチ氏インタビュー

【ミュンヘン発・bundesliga.de編集部】欧州チャンピオンズリーグ準々決勝では、ブンデスリーガの王者バイエルンを強敵が待ち受けている。抽選で引き当てられた対戦相手は、イタリア・セリエA最多優勝を誇るユベントスだ。バイエルンのカールハインツ・ルンメニゲ社長は対戦が決まった直後、「まだ夢がなくなったわけではない」とコメントした。

ハサン・サリハミジッチ氏も同様の評価をしている。「これは非常に難しい組み合わせになったね。バルセロナ(スペイン)の次に難しい相手だ」。元ボスニア代表であるサリハミジッチ氏はバイエルンで長年プレーし2001年にCL優勝を経験しただけでなく、ユベントスにも所属した。そのため両チームをよく知っている。

bundesliga.deは「ブラッツォ」ことサリハミジッチ氏にインタビューし、バイエルンのユベントス戦でのチャンスについて話を聞いた。

bundesliga.de サリハミジッチさんはバイエルンでもユベントスでもプレーしましたが、今でも両チームの試合結果をチェックしていますか?

サリハミジッチ氏 もちろん。それどころかすごく細かくチェックしていますよ。両チームのCL準々決勝ももちろん観ます。スタジアムに行くか、またはテレビ局「sky」の解説者として。

bundesliga.de バイエルンの応援をしますか、それともユベントスの勝利を願いますか?

サリハミジッチ氏 もちろん私は「赤」(注・バイエルンのチームカラー)ですよ。バイエルンでは9年もプレーしましたし、自分のキャリアの中でも最高の時期でした。その後もミュンヘンに住み、子どもたちはここで生まれています。でもトリノでも素晴らしい時を過ごしました。だからこの対戦が行われるのは、私にとってはちょっと早すぎるという感じですね。決勝での実現を望んでいたんですよ。私の心の一部は、どちらが負けても悲しみを感じると思います。

bundesliga.de バイエルンにとって、この組み合わせはどのくらい厳しいと思いますか?

サリハミジッチ氏 すごく厳しいですね。バルセロナの次に難しい相手なんじゃないかな。でもバイエルンが3週間前や9-2で勝ったハンブルガーSV戦(ブンデスリーガ第27節)のような試合をすれば、誰が相手でも勝てるでしょう。彼らがそういう戦いを出来るのであれば、バイエルンが少し有利だと思います。

bundesliga.de ユベントスはどんなところが傑出しているんでしょう?

サリハミジッチ氏 ユベントスは素晴らしいサッカーをします。特に守備が非常に堅く、チームは安定しています。セリエAではファンタスティックなシーズンを送っていて、ブンデスリーガでのバイエルンと似ていますね。選手たちはすべてのポジションにおいて、非常にハイレベルなクオリティーを持っています。ディフェンスはジョルジオ・キエッリーニ、アンドレア・バルザーニ、レオナルド・ボヌッチの3人によって、ほぼ完全な代表チーム守備陣です。中盤にはアンドレア・ピルロ、クラウディオ・マルキージオ、アルトゥーロ・ビダルといった、国際的トップスターがいます。FWでは特に熟練した技術を持つミルコ・ブチニッチが危険です。

bundesliga.de 2012年に行われたユーロの準決勝で、ドイツ代表チームはイタリア代表のディフェンスラインの前に涙をのむことになりました。いったい何がイタリアの守備の強さの秘密なのでしょうか。

サリハミジッチ氏 ユベントスの安定した守備は特にアントニオ・コンテ監督の功績でしょう。コンテ監督はユベントスを全員守備のチームに作り上げましたが、それはFWから始まりました。ユベントスのFWのゴール数があまり多くないことは、よく批判の的になります。しかしそれはシステムに関係しているんですよ。ミルコ・ブチニッチ、アレッサンドロ・マトリ、ファビオ・クアリアレッラは、全員ゴールを量産できることを示しました。コンテ監督のもとでは単に、FWも後ろで多くの働きをしなくてはならない。動きまわって、常にパスを受けられるようにしなくてはならないんです。

bundesliga.de ではユベントスには、弱点はあるのでしょうか?

サリハミジッチ氏 今のところ、ユベントスは大きな弱点は見せていません。勝利への鍵は、ピルロとビダルにサッカーをさせないこと。それがうまくいけば、もう半分は成功したと言えるでしょう。しかしこの2人以外の選手もトップレベルです。ユベントスは非常に手強い相手です。

bundesliga.de ブンデスリーガでは(優勝目前で)やることが何もないと言えるバイエルンにとっては、高い集中力をキープするのは難しいでしょうか。

サリハミジッチ氏 難しいと思います。特にCLにおいては、今が一番大事な時でしょう。バイエルンが、今季CL優勝を果たし欧州でナンバーワンになりたいのは明らかです。2年連続で敗退を味わっていますし、今年こそ優勝を、という時でしょうね。選手たちは賜杯を何が何でも手に入れたいだろうけど、CLでは弱さを見せたら終わりです。バイエルンは再び3~4週間前のような試合をしなくてはなりません。そうすれば彼らは本当に倒すのが難しい存在となります。さらに、たとえばその日のコンディションであったり、ときには少しの運であったりといったその他の要因も絡んできます。

bundesliga.de バイエルンを国際的に見て、特にバルセロナと比べてどう思いますか?

サリハミジッチ氏 ACミラン戦などを観ると、バルセロナは信じられないほど良いサッカーをすると言わざるを得ません。バイエルンが同じようなサッカーをしようと、バルセロナでは何というか、レベルが一つ上ですね。チームの半分を成すようなメッシは地球外レベルですよ。もしバイエルンが3~4週間前のような試合をすれば、彼らはほぼそのレベルに到達し、どんな相手でも倒せるでしょう。バルセロナでさえもね。



聞き手 Sebastian Dirschl(ゼバスティアン・ディアシュル)