乾は今季1部のフランクフルトに移籍、チーム躍進の原動力となっている
乾は今季1部のフランクフルトに移籍、チーム躍進の原動力となっている

乾貴士、新天地で飛躍

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昨シーズン2部で優勝し今季昇格したアイントラハト・フランクフルトが、1部で旋風を巻き起こしている。

開幕4連勝で他のチームをあっと言わせ、第16節を終えた現在も8勝5敗3分で4位につけている。その攻撃の一角を担うのが、日本代表MF乾貴士だ。乾は2011年夏にJリーグセレッソ大阪からブンデスリーが2部のボーフムへと移籍。しかしチームは低迷し、乾はチームで浮いた状態が続いた。シーズン終盤には「1部でやりたい」と何度も口にした。

1部復帰を果たしたフランクフルトへ念願がかない移籍すると、たちまち開花。攻守の切り替えが早くよく走る攻撃的なサッカーが特徴のチームだ。特に際立つのが、チームの主将でスイス代表のシュベークラー(25)とU21ドイツ代表ローデ(20)の守備的MFコンビ。左サイドを駆け上がる乾に正確に放たれる多くの好パスからも、両ボランチの質の高さがうかがえる。乾はチームを「しっかりポゼッションしてくれるので、ボールがしっかり来る。みんながつなぐ意識があるし、マイヤーがしっかり蹴ってくる。そこで『ため』ができるかできないかで本当に違うので、そういうところがいいんじゃないかな」と分析する。

乾は開幕から全16試合に先発出場。1244分の出場時間は日本人選手のなかではトップだ。開幕戦の対レーバークーゼン、次節のホッフェンハイム戦ではそれぞれ1アシスト、第3節のハンブルク戦では1部初ゴールを決め、そこから3試合連続で得点を挙げた。小柄な乾が身体の大きな選手を次々とかわし、ゴールを決めるさまは「つむじ風」などと表現され、ドイツのメディアでも大きく取り上げられることが増えてきた。

チームは第2節から第8節までは2位をキープ。前半戦終盤になって第13節でシャルケと引き分けるとその後連敗を喫したが、第16節のブレーメン戦では、乾も9月25日のドルトムント戦以来11試合ぶりとなるゴールを決め、4-1で快勝している。「両サイドバックが上がってくれるので、サイドからしたらやりやすい。攻撃的でいいチームだし、セレッソと近いとは思う」と、日本での古巣とも重ね合わせる。「1試合1試合、前を向いてがんばります」との言葉通り、このまま上位キープを狙っていく。