常に全力プレーでチームに貢献する
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酒井高徳、苦境からの脱出

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シュトゥットガルトDF酒井高徳は今季、苦しいシーズンスタートを迎えた。

7月のロンドン五輪と直後の日本代表戦のため、チームのプレシーズンを棒に振り出遅れた。開幕戦はベンチ外、次のバイエルン戦はフル出場もチームは1-6で大敗。次節のデュッセルドルフ戦は再びベンチ外となったが、この試合で右のホークラントと左のモリナーロ、両サイドバックがともに負傷交代し、両サイドをこなせる酒井に再びチャンスがめぐってきた。以来、リーグでは13試合連続で先発している。

シーズン序盤、チームは大不振。一時は降格圏内にまで落ちた。酒井も本来のキレやスピードが取り戻せず苦戦したが、ラバディア監督はそれでも「試合に出てコンディションを上げてほしい」と起用し続けた。その結果、酒井もチームも徐々に調子を上げ、第16節終了時点では今シーズン最高の6位に浮上。「チームの状態がよくないとき、自分もプレーの内容が悪かったのに我慢して使ってくれたのが大きかった」と酒井は話す。「(調子が)いいときは、自分のパスに触る回数、走る距離、ボールに絡む回数が多くなってきたとき」と話すように、このところ走行距離とボールタッチ数では毎試合、チームで1,2を争う数字を叩き出し、1237分の出場時間はブンデス日本人選手では乾の1244分に次いで2番目に多い。

コンディションの向上はプレーの内容だけでなく、結果にもあらわれた。11月22日の欧州リーグ1次リーグ第5節、敵地で行われたステアウア・ブカレスト(ルーマニア)戦で、ドイツ移籍後公式戦初ゴールを決めた。岡崎からの難しいクロスをダイレクトで決めた強烈なシュートは、「夢のようなゴール」と称賛された。この試合では岡崎に“お返しアシスト”も。2ゴールを決めた岡崎との日本人コンビの活躍は翌日、日独メディアを賑わせた。

初ゴールのあとには「人生初」の一発レッドによる退場も経験。第16節のシャルケ戦、ホルトビーへのスライディングが足へいってしまい、駆け寄ってきた主審にカードを出されると思わず天を仰いだ。2日前の欧州リーグ1次リーグ最終節モルデ(ノルウェー)戦に0-1で敗れ、「一瞬でも抜いたら負ける」と気合を入れ直して臨んだ結果の「空回り」だった。

「開幕から出られなくても、出るような気持ちで(冬季)キャンプにのぞむ。それが上手くいったから昨年はしっかりベースを作れて、あれだけのプレーができた」と常に前向きな姿勢は変わらない。「僕らはバルサでもレアルでもない。100%でやらなきゃいけないところを、しっかりやらないと」と話す21歳で2児の父親である酒井高徳。年内最後のドイツ・カップ(対ケルン)、冬季キャンプ、そして後半戦も全力プレーで挑む。