Summary

  • 第27節のハンブルク戦で今季リーグ戦初ゴールをマーク
  • 3月末の日本代表戦でも久しぶりのゴールを記録
  • 直近のリーグ戦4試合で1ゴール3アシストの活躍

香川真司の表情がまぶしい。28歳の日本人MFがドルトムントの攻撃を鮮やかにけん引している。4月1日に行われたシャルケとのルールダービーでピエールエメリック・オバメヤンの先制点をアシストした香川は、続く5日のハンブルガーSV戦で今季リーグ戦初ゴールをマークしただけでなく、チームの3点目もアシストした。3月23日と28日に行われたワールドカップ アジア最終予選の疲れを感じさせるどころか、日本代表で連勝した勢いをブンデスリーガにも持ち込んだ印象だ。

クラブと代表の両方で出場機会を失う

今季の香川はクラブと代表のパフォーマンスがなかなか噛み合っていなかった。昨年9月のUAE戦とタイ戦でノーゴールに終わった日本代表の背番号10は、ドイツへ帰国した直後に行われた9月10日のライプツィヒ戦で出番を得られず、翌週のダルムシュタット戦でも後半途中からの出場にとどまった。

ドルトムントの背番号23はその後も先発出場の機会をつかめないまま10月の最終予選に挑む。しかし、イラクとのホームゲームでは出番がなく、オーストラリアとのアウェーゲームでは先発したものの守備に追われた。パフォーマンス向上のきっかけをつかめないまま、再びドルトムントへ合流することになる。

クラブでの立場が好転するはずもなく、状況はむしろ悪化するばかり。11月5日のハンブルガーSV戦から12月16日のホッフェンハイム戦まで、6試合連続でリーグ戦のピッチに立つことができなかった。10月下旬に右足首を負傷した影響があったとはいえ、これほど長い“空白期間”は14ー15シーズンのドルトムント復帰後初めてのことである。

11月の最終予選に参加した際、香川は厳しい表情を崩さなかった。サウジアラビア戦で先発を外れても、「自分は代表で結果を出している立場ではない。ドイツで巻き返すだけ」と答えるにとどまった。

出場機会増でコンディションと自信を回復

それでもウィンターブレーク明けから少しずつ光明を見いだしていく。リーグ戦では7試合ぶりの先発となった3月11日のヘルタ・ベルリン戦で今季2つ目のアシストを記録。公式戦では10試合ぶりのフル出場も果たした。続くインゴルシュタット戦でも先発に名を連ねると前半14分、中盤の左サイドで鋭くターンしてタッチライン際を走るマーセル・シュメルツァーへスルーパスを通した。オバメヤンの決勝点につながったこのシーンを筆頭に、シュメルツァーとのコンビネーションで左サイドを支配した。

ドイツサッカー連盟カップ(DFB杯)のロッテ戦を含む公式戦3試合連続フル出場で納得のパフォーマンスを披露。ゲーム体力とゲーム勘が磨かれていくからプレーにも余裕と自信が生まれる。そして、インゴルシュタット戦後の最終予選で先発に復帰。タイ戦では2016年6月のブルガリア戦以来となる国際Aマッチ通算28点目を叩き出した。ゴール前に飛び込むタイミングの見極め、シュートフェイントでDFを外した瞬時の判断、トップフォームに近づいていることを感じさせるプレーだった。

香川自身も「良いゴールだったと思う」と振り返った。だが、「クラブでの結果は物足りない」とすぐに表情を引き締め、「クラブでしっかり結果を残して、また6月に備えたい」と話した。この時点ではまだリーグ戦でゴールを挙げていなかったが、ドイツに戻ってすぐに有言実行を果たした。

クラブでの好調を代表へ持ち込み、代表でのプレーをクラブにつなげる——。第28節のバイエルン・ミュンヘン戦こそ軽傷で欠場したが、香川は理想的なサイクルを作り出してシーズンの終盤を迎えようとしている。

文=戸塚 啓