Summary

  • ホッフェンハイムを4位に導いたナーゲルスマン監督
  • ブンデスリーガ史上最年少の28歳で監督デビュー
  • ドイツサッカー連盟(DFB)によって2016年の最優秀監督に選出

ユリアン・ナーゲルスマンがホッフェンハイムの監督を引き受けた2016年2月、チームはブンデスリーガで降格圏の17位に沈んでいた。それからわずか1年半後、そのチームは欧州カップ戦の出場権を獲得するまでに急成長を遂げた。

3位のドルトムントに勝ち点で2ポイント及ばず、欧州チャンピオンズリーグ(CL)はプレーオフからの挑戦となったが、ナーゲルスマンはリーグ最終戦を終えた後、「我々が成し遂げたことはとてつもないことだと思う。非常に誇らしい」と顔をほころばせた。

プレーオフではリバプール(イングランド)やセビージャ(スペイン)といった強豪クラブとぶつかる可能性があるが、29歳の青年監督がひるむことはない。「どこが来ようが勝ち上がってみせる」。欧州最高レベルの一つであるブンデスリーガで4位に食い込んだことは大きな自信になっているようだ。

記録ずくめのシーズン

「CLアンセムを聞くことができる。それが何よりも楽しみだよ」。指揮官のそんな言葉からは余裕すら感じられる。それもそのはず、今季の勝ち点「62」はホッフェンハイムにとって過去最高成績であり、ホーム無敗でシーズンを乗り切るのもクラブ史上初めてのこと。記録ずくめのシーズンにディートマー・ホップ会長は「クラブの誰もが幸せ」と喜んだ。

これまでの最高成績は、ブンデスリーガに初参戦した2008/09シーズンの勝ち点「55」。今季はそれを大きく塗り替えただけでなく、ホームではあのバイエルン・ミュンヘンを1ー0で下した。18度目の対戦で初めて絶対王者から大金星を挙げたことに、ホップ会長は「若い選手に思い切って信頼を寄せたことが実を結んだ。今季の結果は監督の力があってのもの」と指揮官の手腕を称えた。

ブンデスリーガ史上最年少監督が今後、どんなキャリアアップを果たすのかにも注目が集まっているが、当のナーゲルスマンは全く関心を示さない。「2016年にプロチームの指揮官になって、2020年にバイエルンに渡り、さらに2025年にはレアル・マドリードの監督に就任。その後は、農場でも買って……。私はそういうことを考えるタイプではない。もしブンデスリーガの監督を務められなくなったとしても、それで私の人生がダメになるというわけではない。この世界で何か成し遂げようとすれば、そこには常にリスクがつきまとうのだから」。29歳の青年は浮き沈みの激しいサッカー界を冷静に見つめている。

隠された野心的な目標をクリア

ナーゲルスマンの成功の秘訣は率直さと自己批判精神にある。ホッフェンハイムでは試合後、監督がチームの前で選手一人ひとりを批評する時間が設けられており、監督も自ら反省の言葉を述べてそのミーテイングは締めくくられるという。

シーズン最終戦後の記者会見で、ナーゲルスマンはメモ帳のある1ページを見せた。そこには、これまで公にされることのなかったシーズンの目標が書かれてあった。“現実的な目標”は“一桁順位”、そしてその下には“野心的な目標”として“欧州リーグ出場権の6位”とあった。ナーゲルスマンは「どちらの目標も達成できた」と、してやったりの表情で笑った。

来季はゼバスティアン・ルディとニクラス・ズューレを失った中で(ともにバイエルンへ移籍)リーグ戦と欧州カップ戦をこなしていかなければならず、改めてその手腕が試されることになる。ナーゲルスマンの挑戦はまだ始まったばかりだ。