Summary

  • バルトラが過ごした激動のシーズンを振り返る
  • 4月にチームバスの襲撃事件で右腕を負傷
  • リーグ最終節で戦列に復帰し、DFB杯優勝にも貢献

マルク・バルトラがドルトムントで過ごした最初のシーズンは、本人にとって「忘れられない1年」となった。その理由は必ずしも良いものばかりではなかったが、4月に発生したバス襲撃事件による負傷を乗り越えて戦列に復帰したバルトラは、ドイツサッカー連盟カップ(DFB杯)のタイトルを獲得し、最後は笑顔でシーズンを締めくくることができた。

アイントラハト・フランクフルトを下してDFB杯優勝を成し遂げた後、バルトラはシーズンを振り返って次のように語った。「サポーターの前で優勝できて最高の気分だ。鳥肌が立ったよ。僕たちのサポーターは喜び方を知っているよね。すさまじい1年だったけれど、本当に幸せだ」

1年目から主力に定着。ファン人気も獲得

生まれ故郷に近いバルセロナでプロデビューを飾ったバルトラは、昨季までバルセロナ一筋のキャリアを過ごしてきた。しかし昨夏、故郷を離れてドルトムントに加入することを決意。同じビッグクラブとはいえ、国外に出るとなれば全く違ったチャレンジとなる。言葉の問題、文化やサッカースタイルの違い。さらに、ドルトムントではマッツ・フメルスの穴を埋めるという大きな任務も待っていた。

ドルトムントでのデビュー戦となったドイツ・スーパーカップでは、王者バイエルン・ミュンヘンに0ー2で敗れた。それでもデビュー戦で「ブンデスリーガで成功するためには何が必要か」を感じ取れたのは大きかった。

バルトラは若い選手を中心としたドルトムントですぐにキーマンの一人となった。レギア・ワルシャワとの欧州チャンピオンズリーグ(CL)初戦では移籍後初ゴールを挙げて6ー0の大勝に貢献。これで勢いに乗ったチームは6試合で計21ゴールを挙げ、グループステージの大会最多得点記録を更新した。

ピッチ外でも持ち前の明るい性格ですぐにファンの人気を獲得。さらに、SNSを使った交流でドルトムントサポーターの心をがっちりつかんだ。ルールダービーが行われた4月には、シャルケサポーターで青く染まったスタンドで、独り黄色のユニフォームを着て応援する女性を発見。SNSで「ぜひ、この女性を探し出してほしい」と発信してシュテフィさんを探し当て、彼女にユニフォームをプレゼントした。



キャリアを脅かしたバス襲撃事件

バルトラの性格をさらに知ることになる事件が起きたのは4月11日、CL準々決勝ファーストレグのモナコ戦を前に、チームバスが爆弾による襲撃を受ける事件が発生した。この爆発で負傷したバルトラは最悪の事態も考えたという。「攻撃された時は二度とサッカーができないと思った。最初の5分か10分、僕は動けなかった。何も聞こえなかったんだ」

バルトラはこの爆発で手首を骨折したが、幸いにも医師に伝えられた言葉はバルトラが求めていた内容だった。「全治1カ月くらいです。またプレーできるようになります」。その診断は本人にとって最高に素晴らしいニュースだった。

翌12日、バルトラはいつもと同じようにインスタグラムに写真を投稿。腕にギブスをはめてはいたが、笑顔でサムアップしている。その前向きな姿勢はサポーターの心を打った。その週末に行われた試合では、チームメートがサポーターの前でバルトラのユニフォームを掲げ、選手とサポーターの間にある強い団結力を見せた。それから6週間後、バルトラはブンデスリーガ最終節のブレーメン戦で戦列に復帰してフル出場。チームは4ー3の勝利を収め、来季のCL出場権を獲得した。試合終了後、サポーターがバルトラの名前をチャントすると、彼は目に涙を浮かべていた。

シーズンの最後に待っていた歓喜

その1週間後、バルトラはDFB杯決勝でも76分までプレーし、ドルトムントは5年ぶりのタイトルを獲得。バルトラにとってはドルトムントでの初タイトルとなった。

試合終了後、バルトラはジェットコースターのようなシーズンを振り返ってこう語った。「僕はより一層、普通のことに感謝するようになった。小さなことや些細なこと、チームメートや家族、友人と一緒にいられること、そうしたすべてがものすごく大切なことになったんだ」

「ポジティブに生きようと思う。自分の人生にどれだけの時間が残されているのかは誰も分からないからね。神様のおかげで僕たちは助かった。こうして優勝をすることもできたし、今後さらに素晴らしいことが待っていると信じている」

DFB杯優勝という歓喜に酔いしれながら、バルトラは自分が今までよりも強くなったと感じている。今季終盤に体験したことを通して、来季はさらに強くなれると確信しているはずだ。