Summary

  • ハンブルガーSVが今季も残留に成功
  • ブンデスリーガ創設時からトップリーグに在籍
  • キャプテンの酒井高徳も喜びと安堵の涙

ハンブルガーSVはブンデスリーガが創設された1963/64シーズン以来、一度も2部に落ちることなくトップリーグに在籍し続ける唯一のクラブである。54シーズン目を迎えた今季も土壇場で残留を勝ち取り、クラブの伝統を守り抜いた。その長い年月を示すフォルクスパーク・シュタディオンのスタンドの時計は、今季も止まることなく来季に向けてまた新たに時を刻み始めた。

ワルトシュミットが110秒で大仕事

プレーオフ回避のためには勝つしかないという状況で迎えた最終節、ハンブルクは勝ち点2差で15位につけるウォルフスブルクとの直接対決を制し、逆転で残留を決めた。1ー1で迎えた88分、途中出場のルカ・ワルトシュミットのヘディングシュートがゴールに吸い込まれると、5万7000人の観衆で超満員となったスタジアムは特大の歓喜に包まれた。

試合終了の笛が鳴り、抱き合って喜ぶハンブルクの選手たち。その歓喜の輪の中心にいたのが一躍ヒーローになったワルトシュミットだ。86分にピッチに送り出されると、わずか110秒後に値千金の決勝点をマーク。「残留を決めるゴールが決められるなんて言葉にならない! 初ゴールをずっと夢見てきた。とにかくすごいよ」。自身のブンデスリーガ初ゴールが名門クラブの伝統を守ったことに、本人も興奮を抑え切れない様子だった。

実は試合前、GKクリスティアン・マテニアは、ワルトシュミットが決定的なゴールを決めると予言していたという。それまでリーグ戦の出場は14試合でプレー時間はわずか348分。決して出場機会に恵まれていたとは言えないが、前日に21歳になったばかりのストライカーは周囲に期待を抱かせる何かを持っていたのだろう。

「このゴールは決して諦めなかったことに対するご褒美だと思う。どうやってボールを押し込んだのか思い出せないけど、もともとヘディングは強いんだよ」。腐らずに努力を続けた21歳はどこか誇らしげだった。そんなワルトシュミットに対し、イェンス・トッドSDは「ルカは難しい時期を過ごしてきた。このゴールは彼の今後に大きな力を与えてくれるはず」と目を細めた。

重圧から解放され…酒井も涙が止まらず

残留の喜びはもちろん、クラブ史上初の2部降格というプレッシャーから解放されたことへの安堵も大きかったとトッドSDは言う。「とにかくホッとした。シーズンの最低目標にしか届かなかったとはいえ、このチームを誇りに思う。第10節終了時点でわずか勝ち点2だったことを忘れてはいけない。コーチングスタッフには深い敬意を表したい」

第6節から指揮を執り、チームを残留に導いたマークス・ギスドル監督も絶望的な状況から生き残ったことの価値を強調する。「あれだけの重圧に打ち勝てたことに信じられないような感情が沸いてきた。第10節が終わった時点でチームは死んだも同然だった。勝ち点2から残留に成功したチームなどない。だが、我々は結束して歴史を変えようとやってきた」

シーズン途中からキャプテンに就任した酒井高徳は喜びと安堵から涙が止まらなかった。「ものすごいプレッシャーがのしかかっていたが、それを下ろすことができた。残留を果たしただけだが、もう泣くことしかできなかった。これまでのキャリアの中で最も密度の濃いシーズンだった」

ハッピーエンドでシーズンを締めくくったハンブルクの選手たち。殊勲のワルトシュミットは「いつ、どこでかは分からないけど、とにかくお祝いをしなくては」と祝宴を心待ちにしている。もっとも、バカンスに入る前に、24日と25日にテストマッチが組まれている。思う存分にハメを外すのはもう少しだけお預けとなりそうだ。