Summary

  • コンフェデ杯でチリ代表の命運を握るビダル
  • チリ代表は22日にドイツ代表と対戦

アルトゥーロ・ビダルが戦っている姿を見ていると、円形競技場があったローマ時代にタイムトリップをしたような気持ちになる。時に声を上げ、威厳を保ち、すべてを投げ出して勝つという不屈の闘士。バイエルン・ミュンヘン、そしてチリ代表として戦うビダルは“現代のグラディエーター”と言えるような選手だ。

ロデリーノで子ども時代のビダルを指導したアルトゥーロ・オリア監督は「彼のことを“アースイーター”と言っていた」と当時のことを振り返った。「転んでもプレーした。叩いてやめさせるほどだったよ。でも、痛めつけられてもケガをしても、彼は気にとめる様子などなかった」

そんな子ども時代から20年。ビダルの強さは増すばかりだ。コロコロとプロ契約を結び、その後はレーバークーゼンへ移籍。そして、ユベントスとバイエルンでのプレーを経て中盤を広くカバーできる完璧なMFとなった。

ビダルは2014年のインタビューで臆することなく自画自賛していた。「僕のプレースタイルを真似ようとする人たちはたくさんいる。でも、一つだけ言いたいのは僕こそが世界最高の守備的MFだ。僕ほどしっかり守備をしてゴールも挙げられる選手はいない」

ビダルの言葉は統計が裏づけている。クラブと代表で494試合に出場して107得点を挙げ、タックル成功率は64%に及ぶ。また、キャリア通算で7回しか退場処分を受けていないことも、いい意味で先入観を裏切っている。

クラブレベルにおけるビダルの優勝回数はユベントスで4回、バイエルンで2回。代表でも2015年と2016年の南米選手権でチリを連覇に導く原動力となった。6月18日に行われたカメルーンとのコンフェデレーションズカップ2017初戦では得意のヘディングで先制点を決めている。

カメルーン戦の「マン・オブ・ザ・マッチ」に選出されたビダルは、「いいスタートを切ることが重要だった。得点ができたのはうれしいけど、最も重要なのは勝ち点3を取れたことだ。いい準備をしてきたし、できる限り勝ち進みたい。優勝できたらと思う」と語っている。

チリは22日、カザンでドイツと対戦する。カメルーンはある意味で未知の対戦相手だったが、チームメートのヨシュア・キミッヒを始めとするブンデスリーガの選手が数多くいるドイツ戦は予習をこなす必要もないだろう。

「ヨシュアは今季、あまりプレーをしなかった。でも、試合に出た時はしっかり準備ができていた。監督にとっては難しい決断だっただろうね。若い選手が成長するためには試合に出なければならない。でも、彼は質の高い選手だ」

キミッッヒより8歳年長のビダルの言うことは正しい。自身も若手スターだったビダルは、闘争心溢れるプレースタイルで、サッカー選手として頂点を極めるまでいくつもの競争を制してきた。いずれは若手に取って代わられる時がやってくるだろう。しかし、戦わずして降伏することはない。芯まで戦士のビダルは最後まで戦い抜く。