Summary

  • チチャリートは2015年8月にレーバークーゼンに加入
  • 移籍実現のためにボルトSBとフェラーSDが奔走
  • 現在は出場した直近3試合で5ゴールと大活躍中

2015年8月、レーバークーゼンはあるスター選手の獲得に成功した。イングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドに所属していたメキシコ代表FWチチャリートだ。2015/16シーズンのブンデスリーガにおいて「最高の補強」と言われたこの移籍劇はどのようにして実現したのだろうか。

レーバークーゼンのスポーツマネージャーを務めるヨナス・ボルト氏は当時、コーヒーを片手に「チチャリートを獲得すべきだ」と話していた。これにスポーツディレクターのルディ・フェラーが賛同。これがチチャリートのブンデスリーガ挑戦の始まりだった。

移籍決定前の2014/15シーズン、チチャリートはマンチェスター・Uからの期限付き移籍でスペインの強豪レアル・マドリードでプレーしていた。ビッグクラブで活躍していたストライカーを、レーバークーゼンはなぜ獲得できたのだろうか? この移籍実現の裏には、何よりボルトSBとフェラーSDの意欲と決意があった。

子どもの頃からレーバークーゼンのファンだったというボルト氏は、2003年からユース部門で働いたのち、スカウトに就任。ドイツ人の父とチリ人の母の間に生まれ、その流暢なスペイン語を駆使して数々の南米出身選手の発掘に貢献してきた。2007年のU-20FIFAワールドカップで見いだしたチリ人コンビのチャルレス・アランギスとアルトゥーロ・ビダルの補強がいい例だろう。南米出身選手との重要な調整役としてクラブに欠かせない存在となったボルト氏は2015年、これまでに成立させた移籍の中で最も有名なスター選手の獲得に挑んだ。

クラブはボルト氏の暗躍により、アランギス(左)やビダル(右)のような有能な選手を獲得してきた

フェラー氏はチチャリート獲得の経緯を鮮明に覚えている。「ヨナスがコーヒーを2つ持って私のオフィスにきたんだ。彼は私を見て率直に『チチャリートを獲得できる』と言ったよ」。それは壮大な計画だったが、ボルト氏には説得できるだけの材料があった。「我々は彼に一貫した出場機会を与え、彼が輝けるチーム作りをしたんだ」

一方のチチャリートも、レーバークーゼンへの移籍を大きなチャンスと捉えていた。若く意欲的で野心のあるチームの中心選手として出場機会があること、そしてUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の出場権を持っていたことが彼を決断させた。チチャリートはレーバークーゼン加入以来、公式戦67試合で38ゴールを記録。母国メキシコやアメリカでのブンデスリーガのファンの増加にも一役買い、近年のブンデスリーガおける最も重要な移籍の一つとの声も多い。

年齢的にも最も脂が乗っている28歳。今季は11試合ノーゴールと不振に陥ったが、年開け以降は不調が嘘のようにゴールを量産している。ボルト氏が抱いたスター選手獲得への確固たる信念は、確かに実を結んでいる。

ボルト氏の意欲と決意は近年のブンデスリーガにおける「最も重要な移籍」を実現させた