Summary

  • ドルトムントのヌリ・シャヒンが開幕2連勝の立役者に
  • ペーター・ボス監督の下でかつての輝きを取り戻す
  • ヘルタとの第2節で2年半ぶりのリーグ戦ゴール

香川真司が所属するドルトムントが開幕2連勝を飾り、首位でインターナショナルウィークに入った。好スタートの立役者は第2節のヘルタ・ベルリン戦で1ゴール1アシストをマークし、文句なしのマッチウィナーとなったヌリ・シャヒンだ。

チームの一員であることへの充実感

シャヒンは1ー0で迎えた57分、約20メートルの距離から右足を振り抜いて鮮やかにゴールネットを揺らした。勝負を決める豪快な一撃に同僚のゴンザロ・カストロは、「彼が右足でもシュートを撃てるなんて、スタジアムにいた誰も知らなかったんじゃないかな。ピッチにいた僕らでさえ知らなかったんだからね」と笑った。

本人も「右足であれだけうまくシュートを打てたことが今までに何回あったか……自分でも分からないくらいさ。でも、撃った感触は良かった」と満足げに語ったが、その表情にはようやくチームの一員として貢献できるようになったことへの充実感がにじみ出ていた。

育ったドルトムントへの変わらぬ思い

12歳でドルトムントのユースに加入したシャヒンは、2005年にブンデスリーガ史上最年少の16歳335日でトップデビュー。しかし、本人が「誰よりも浮き沈みを経験してきた」と語るように、そのキャリアは決して平坦なものではなかった。

2010/11シーズンはユルゲン・クロップ監督の下で司令塔として圧倒的な存在感を放ち、ドルトムントをリーグ制覇へ導いた。チームメートからはその誠実さと控えめなところが愛され、サポーターからは生え抜きならではのクラブ愛で絶大な支持を得ていた。

レアル・マドリード(スペイン)に移籍してからもそのクラブ愛が変わることはなく、2013年1月に復帰した際には、「もう一度我が家に戻ってくることができてものすごくうれしい」と語っていた。しかし、そんな喜びとは裏腹にシャヒンを待ち受けていたのは長く苦しい時間だった。度重なるケガで思うようにプレーできず、出場機会が激減。今年5月のドイツサッカー連盟カップ決勝では、トーマス・トゥヘル前監督から納得のいく理由もないまま遠征メンバーから外されるというショッキングな出来事もあった。

それでもシャヒンは決してギブアップしなかった。それを近くで見守ってきたからこそ、ドルトムント・ファミリーの誰もが現在の彼の姿に心から拍手を送る。本人は過去についてあまり語ろうとしないが、監督交代による環境の変化が転機になったことはその言葉からもくみ取ることができる。シャヒンはペーター・ボス監督について、「落ち着きがあって、とても人間的で公平な監督」と語っている。

完全復帰を後押ししたボス監督

「どんなサッカー選手も信頼されることが必要」と話すシャヒンは、ボス監督からの信頼を感じ、ピッチの上で結果を出すことでそれに応えている。「一番うまいとか、大事な選手とか、そういうものになりたいのではなく、ファミリーの一員でいたいんだ。その中の一部として、成功を収めるための力になりたい。今の僕はそれだけの評価を受けているし、それが力になっている」

このオフはケガもなくしっかりと準備できた。さらに、ボス監督がクロップ時代を思い出させるようなコンセプトのサッカーを目指している点もシャヒンにとってはプラスだった。チームはこれまでよりも全体的に高い位置にラインを設定。シャヒンの持ち味もより発揮しやすくなり、ヘルタ戦では広い視野を生かしてチームの心臓として躍動していた。

15分には瞬時の判断力とスピード、そして正確なキックを生かして先制点をお膳立て。ピエールエメリック・オバメヤンは合わせるだけという完璧なアシストだった。自ら決めたチーム2点目は、試合を通して質の高いパフォーマンスを見せたことへのご褒美と言っていいだろう。完全復活の象徴とも言うべき約2年半ぶりのゴールに、スタジアムでは“ヌゥゥウウウウウリイイイ!”の大合唱が沸き起こっていた。