Summary

  • ケルンの大迫勇也が最終節で1ゴール1アシストの活躍
  • 7位から5位に浮上したケルンはEL出場権を獲得
  • 大迫は加入3年目にしてチームに不可欠な存在に

ブンデスリーガ初代王者のケルンがクラブの歴史に新たな足跡を刻んだ。2016/17シーズンの最終節で7位から5位に順位を上げ、25年ぶりにヨーロッパへの扉を開いたのだ。

最終節で大迫が躍動。25年ぶりにヨーロッパへの扉を開く

その試合で勝利の立役者となったのが大迫勇也だ。ホームのラインエネルギー・シュターディオンにマインツを迎えた一戦は、背番号13の“独り舞台”となる。アントニー・モデステと2トップを組むと、安定感のあるポストワークでボールの中継点となり、カウンターの担い手となり、チームのパスワークを滑らかにしていく。前半43分にはコンスタンティン・ラウシュのスローインを頭でフリック。これがスペースに走り込んだヨナス・ヘクターへの絶妙なパスとなり、チームの先制点に結びついた。

同時刻に行われていた他会場の試合では5位のヘルタ・ベルリンレーバークーゼンに、6位のフライブルクバイエルン・ミュンヘンにリードを許している。このまま勝利すれば、ケルンは欧州リーグ(EL)の出場権が得られる5位へ浮上する。スタジアムの興奮はジワジワと高まっていった。

83分にはミロシュ・ヨイッチが右サイドをスルスルと抜け出し、大迫の動き出しに反応してパスを通す。ファーストタッチでうまく縦方向にボールを運んだ大迫は、ゴール正面からやや左へボールを持ち出して角度を作ると、背後から忍び寄るDFの気配に慌てることなくしっかりと左足を振り抜く。このシュートがゴール左隅に突き刺さるとスタジアムの興奮は最高潮に達し、試合終了が待ちきれない観衆がスタンドを降りてピッチサイドに押し寄せた。

やがて、試合終了のホイッスルが鳴り響くと、観衆が一斉にピッチへなだれ込み、ライブ会場のアリーナ席のように緑色の芝生が人、人、人で埋め尽くされていく。この25年で最多の勝ち点49を積み上げたケルンはシーズンを5位でフィニッシュ。昨季の9位に続いて2シーズン連続で一桁順位で終えるのは1991/92シーズン以来だ。

出場試合数とゴール数で過去最高をマーク

チーム躍進の立役者を探すとしたら誰もがモデステを選ぶだろう。在籍2年目のフランス人FWは、チーム総得点のほぼ半分にあたる25ゴールを一人で叩き出した。モデステはパートナーにも恵まれた。ストライカーとしての血が濃いモデステに対し、パートナーの大迫はプレーの幅が広く、パスの出し手にも受け手にもなり、スペースメークとバランス感覚に優れる。ぺーター・シュテーガー監督が大迫をトップ下やボランチで起用したのも、フットボーラーとしての総合的な能力が高いからだ。チームメートを生かす大迫がいたからこそ、モデステはゴール奪取に専念できたのだ。

大迫はケルン加入3シーズン目にして、出場試合数、ゴール数で過去最高をマークした。リーグ戦30試合出場はモデステやヘクター、フレデリク・ソーレンセンらに次いでチームで6番目に多い。7ゴールはブンデスリーガ移籍後の最多記録である。

EL出場権獲得という成果を挙げた今季のケルンにおいて、27歳の日本人ストライカーはチームに不可欠な選手となった。ケルンと大迫の幸福な関係は、今後さらに大きなものを生み出す可能性を秘めている。

文=戸塚 啓